概要

1 石材の種類

〔1〕 生成過程による岩石の分類

(1) 火成岩・・・・・マグマが結晶化したもの

  1. 深成岩 地中深部で徐々に冷却され固まったもの
    (花崗岩、閃長岩、閃緑岩、斑糲岩など)
  2. 火山岩(噴出岩) 地表に流出した溶岩が急激に冷え固まったもの
    (安山岩、玄武岩、流紋岩、粗面岩など)
  3. 半深成岩 地中浅部で冷却され固まったもの

(2) 堆積岩・・・・・水の流れ、波あるいは風によって岩や土壌、有機体などが沈降・堆積して生成したもの

  1. 砂岩 石英の粒子に他の鉱物が混ざったもので耐久性に劣る。
    (カルサイト、ドロマイトなど)
  2. 石灰岩 炭酸カルシュウムの堆積物で構成され、研磨により光沢が出る
    (トラバーチン、オニックスなど)
  3. 凝灰岩 火山灰と他の火山砕屑が堆積したもので給水率は高く強度は少ないが耐火性がある

(3) 変成岩・・・・・火成岩や堆積岩が熱や圧力で再結晶したもの

  1. 片麻岩 花崗岩から再結晶し強く発達した鉱物が平行に配列されていて花崗岩に類似している
  2. 蛇紋岩 斑糲岩から再結晶したもの
  3. 大理石 石灰岩から再結晶したもので、内壁材や彫刻に使用されている
  4. 珪岩 砂岩から再結晶され硬質でガラスや陶磁器の材料になる
  5. 粘板岩(スレート) 粘土から再結晶したもので薄板状に割り、屋根瓦や床に使用されている

〔2〕 物理的性質による分類

 石材は、硬質、準硬質、軟石のように、硬さを尺度として分類することがある。日本工業規格では、圧縮強度によって500kfg/平方㎝以上を硬質、100kfg/平方㎝未満を軟石、両者の中間を準硬質と称している。

〔3〕 形状・寸法による分類

  1. 角石 幅が長さの3倍未満で、ある長さを有しているもの
  2. 板石 厚さが15㎝未満で、かつ幅が長さの3倍以上のもの
  3. 間知石 面がほぼ方形に近いもので、控えは四方落とし、面に直角に測った控えの長さは、面の最小辺の1.5倍以上であるもの
  4. 割石 面が原則としてほぼ方形に近いもので、控えはニ方落とし、面に直角に測った控えの長さは、面の最小辺の1.2倍以上のものである

 

2 石材の産地

〔1〕 国内産地

 日本の石材を知るには、1936年に完成した国会議事堂建設に伴い調査された「本邦産建築石材」と、その後の「日本石材精義」による。国会議事堂建設の際は、国内の石材で間に合ったが、現在で資源の枯渇や輸入材の台頭により、採算性等から当時から比べると採石数は減る傾向にある。主な石材は、花崗岩の「稲田石」「真壁石」「尾立石」「黒髪石」「万成石」「庵治石」「大島石」など、安山岩は「「根府川石」「鉄平石」など、砂岩としては「多胡石」、凝灰岩の「札幌軟石」「大谷石」、粘板岩の「玄昌石」などであろう。大理石は、岐阜県や山口県が一大産地であったが、現在では大量に供給が出来なくなった。

〔2〕 外国産石材

外国からの原石の輸入が始まったのは、大理石が大正末期、花崗岩が昭和初期といわれている。最高裁判所建設当時から、国内では石材需要の増加に伴い、急速に石材の輸入に依存するようになり、現在数十カ国から数百種類の石材が輸入されている。また、同じ山から採石された原石でも、採石場が違ったり石材輸入商社によって名称が異なることがある。

〔3〕 国内産石材一覧

石材名 産地 分類 石材名 産地 分類
札幌軟石 北海道 凝灰岩 恵那御影石 岐阜県 花崗岩
十和田石 秋田県 凝灰岩 伊豆六方石 静岡県 玄武岩
玄昌石 宮城県 粘板岩 藤岡御影石 愛知県 花崗岩
あぶくま大理石 福島県 結晶質大理石 北木石 岡山県 花崗岩
浮金 福島県 閃緑岩 万成石 岡山県 花崗岩
青葉御影石 福島県 花崗岩 竜王石 岡山県 花崗岩
稲田御影石 茨城県 花崗岩 議院石 広島県 花崗岩
真壁御影石 茨城県 花崗岩 尾立石 広島県 花崗岩
寒水石 茨城県 大理石 美称大理石 山口県 変質石灰岩
大谷石 栃木県 緑色凝灰岩 徳山御影石 山口県 花崗岩
多胡石 群馬県 砂岩 阿波鉄平石 徳島県 緑泥片岩
武蔵鉄平石 埼玉県 緑泥片岩 庵治石 香川県 花崗岩
蛇紋石 埼玉県 蛇片岩 小豆島石 香川県 花崗岩
抗火石 東京都 石英粗面岩 大島石 愛媛県 花崗岩
小松石 神奈川県 輝石安山岩 伊予鉄平石 愛媛県 緑泥片岩
根府川石 神奈川県 輝石安山岩 天草石 熊本県 石英粗面岩
諏訪鉄平石 長野県 輝石安山岩 泡石 沖縄県 砂岩

 

3 石材の採石技術

〔1〕 石目

石目とは「岩石中にある割れやすい方向をいう。石目には三種類あって、最も割れやすい面から俗に「一番」「二番」「重ね」と言う。石目は採石上最も大事なで、石工は石目を利用して硬質な岩石から採石する。

〔2〕 磐圧

深いところにある採石になると、周囲を取り囲む岩盤からの圧力で作業に大きく影響する。石切り場を平面に広げ磐圧の分散化を図るのが良いが、一般的にはますます深くなる傾向になり、深さ30メートルに及ぶこともある。

〔3〕 採石方法

  1.  鏨と楔
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    原始的な方法として、岩石の自然の割れ目に木製の楔を打ち込み木材を湿潤させ、膨張を利用して岩石を割っていたと想像される。その後鉄製工具の登場により鉄の楔を叩き込む技術が開発され、現在でも使用されている。
  2.  黒色火薬の利用
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    削岩機により、岩石に穴を彫り火薬を仕掛ける方法。
  3.  連続せん孔
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    大型削岩機により、間隔を蜜(2~3㎝)にせん孔し、採石する方法。
  4.  ジェットバーナー
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    花崗岩の熱膨張率を利用した方法。
  5.  ワイヤーソー
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    ダイヤモンドビーズをスチールケーブルに取りつけたものである。

4 石材の加工技術

〔1〕 加工工程

  1.  原石検査
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    数量、色調、模様を検討し、材料ロスを見込む
  2.  製作図面の作成
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    承認された施工図に従い、寸法表、加工原寸図などを作成。
  3.  原石の挽割
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    大鋸あるいはガングソーを用いるのが一般的である。他にはワイヤーソー、バンドソー、大口径丸鋸がある。
  4. 洗浄・検査
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    切断された鉄錆の発生を防ぐため、石板は高圧水で除去し、傷、色調などを検査する。
  5.  表面仕上げ
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    石のもつ個性を引き立てる工程であり、、本磨き仕上げ、バーナー仕上げ等がある。
  6. 墨出・寸法切断
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    色調、模様に注意をしながら、墨出しを行いダンヤモンドソーで切断。
  7.  役物の加工
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    機械化が進んでいるが、細部は手加工が必要でありコスト・納期に余裕が必要である。
  8.  小端揃え
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    小端揃えとは、所定寸法に整形された板材や役物の小口加工を言う。
  9.   穴開け
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    石材取付用の金物類を取付ける穴をドリルであける。
  10.  製品検査
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    自然光下に製品を敷き並べ、色調や模様を見本板と比較し、不自然なものは交換する。また、寸法精度も許容範囲誤差内に納まっているか検査を行う。

 

〔2〕 石材の仕上げ

  1. 叩き仕上げ
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    叩き仕上げは、本来熟練石工の経験と技術の技量にたよった伝統的な石材の表面仕上げである.表面の凸凹の大小や使用工具にしたがっていくつかの方法がある。
  2. 仕上げの種類 仕上げ方法
    こぶ出し仕上げ 表面をげんのうで叩き落し、こぶ状の粗い凸凹をつくる。こぶの大きさにより大中小の3段階に区分けされる。
    のみ切り仕上げ 表面をのみを使って粗面化する。100mm角の中にのみ跡によって大のみ(5個)、中のみ(25個)、小のみ(40個)に区分される。手加工のみ。
    びしゃん仕上げ のみ切りした面をびしゃんで叩き、平らな粗面をつくる。びしゃんの目の数で荒びしゃん(16目)細びしゃん(25目)に区分される。
    小叩き仕上げ びしゃんの目をさらに両刃や小叩きのみで平行線を刻むように叩き細かな凸凹をつくる。
    突付き仕上げ 表面を突付きを用いて一様につっつき、凸凹をつくる。
    削り仕上げ 表面を両刃などを用いてほぼ平らに削り取ってつくる。
    げんのうこづき仕上げ 切りだし面をげんのうで叩き、一様に粗い凸凹をつくる。
    割り肌仕上げ 原石を割ったままの肌とする。
  3. 磨き仕上げ
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    近年、石板の磨き仕上げは、完全に自動化された機械加工で磨き上げられるが、手加工の部分も相当ある。
  4. 仕上げの種類 仕上げ方法
    粗磨き仕上げ #24~#80(花崗岩の場合)、#100~#300(大理石の場合)で砥石による仕上げ。
    水磨き仕上げ #400~#800の砥石による仕上げ。
    本磨き仕上げ #800~#1500の砥石で磨き、さらにバフ等を使用した艶だしをした仕上げ。
  5. ジエットバーナー仕上げ
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    石材の表面をプロパンガスと高圧空気による高温火炎で急熱し、表層の数mmを弾き飛ばしたものである。適用できる石材は花崗岩類に限られる。
  6.  その他の仕上げ
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    大鋸などの鋸引きの跡をそのまま残す方法や、石の表面に圧搾空気でカーボランダムや剛球を強く吹き付け粗面にするサンドブラストやショットブラスト等がある。

5 石材の選び方

  1.  花崗岩
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    堅硬緻密で吸水性が少なく、強度が大きく、耐久性に富む。大材が得やすく、多様な表面仕上げが可能であることから、床・壁など様々な用途に多用される。日本で最も需要の多い石材である。
  2.  安山岩
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    花崗岩と同様に堅硬緻密であり耐久性に富むが、磨いても光沢が得られず、通常は叩き仕上げで、床・外壁に用いられる。
  3.  砂岩
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    吸水性が大きく、耐研磨性に乏しい。磨いても光沢が得られず、通常は割り肌で壁に用いられる。
  4.  石灰岩
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    大理石と同様に酸に侵されやすいので、仕上げ材料としての屋外使用は避けるべきである。
  5.  凝灰岩
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    軟質軽量で吸水が大きく、耐久性に乏しい。しかしながら加工が容易なことから壁にもちいられる。
  6.  片麻岩
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    花崗岩として取り扱われることが多い。
  7.  蛇紋岩
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    性質は大理石に近く、美しい模様と緑の色調のため装飾用途に用いられる。
  8.  大理石
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    堅硬緻密で吸水性が少なく、しかも加工性に富む。色調や模様に特徴のある石材が多く、装飾用途に多用されるが、酸に侵されやすいため仕上げ材料としての屋外使用は避ける。
  9.  粘板岩
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    緻密で吸水性が少なく、耐久に優れる。鉄平石と同様に薄板を得やすく屋根や床。壁にも方形あるいは乱形として使用されている。